※内容は架空のものです。
「ぱらいそ」
大学二年生の磯原淳一は、ネットカフェの店員・園田夢叶に一目惚れし、出会って0秒で付き合うことになった。
ミステリアスな雰囲気の彼女に翻弄されるのが迷惑でありつつも楽しくなっていたある日、通りすがりの街頭演説に向かって夢叶が呟く。
「あたしなら全部壊せるのに。この街も」
「じゅんくんは知らないと思うけど、昔ここに保育園があったの」
その日から徐々にビラが増え、空には暗号文が飛ぶようになった。
解読できない文字が日常を侵食し始め、淳一のバイト先の書店にも不可解な現象が起こり始めた。入荷した覚えのない雑誌が売れていくのだ。
夢叶は笑っている。全部簡単だよと微笑んでいる。失われた楽園を、彼女は知っている。